集合の濃度まとめ

はじめに


この記事の目標は,


\mathbb{R}上実数値連続関数全体の集合の濃度は,\mathbb{R}の濃度と等しい」


を示すことです.
この主張を示すには,集合の濃度に関する基礎的な主張をある程度網羅する必要があり,理解の目安になるのではないかと思います.

ただし,\mathbb{R}上実数値連続関数が有理数での値によって決まることは,濃度の話から反れるので既知とします.

  • はじめに
  • 証明の流れ
    • 命題1
    • 命題2
  • 命題1の証明
  • 命題2の証明
  • 証明
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Bernsteinの定理

Introduction

集合の濃度についてのお話です.
集合 A,B の間に全単射が存在するとき,|A|=|B| と表します.また,|A| から |B| への単射が存在するとき,|A|\leq|B| と表します.
集合の濃度は,(記号の使い方から察せられるように)順序関係の公理を満たします.つまり,次の3つが成り立ちます.

  1. |A|\leq|A|
  2. |A|\leq|B| かつ |B|\leq|C|\Rightarrow|A|\leq|C|
  3. |A|\leq|B| かつ |B|\leq|A|\Rightarrow|A|=|B|

1.と2.は定義から直ちにわかりますが,3.は明らかではありません.これを保証するのが,Bernsteinの定理です.この記事ではその証明を紹介します.

  • Introduction
  • Bernstainの定理とその証明
    • 定理
    • 証明1
  • 証明2(2/18加筆)
    • 証明2
  • 証明3(2/19加筆)
  • まとめ
  • 応用
  • 参考文献
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集合列の極限

Introduction

数列の極限のように,集合列にも極限を考えることができます.
実数列 \{a_n\}が収束することは,その上極限・下極限
\begin{align}
& \overline{\lim}\limits_{n \to \infty} a_n := \lim_{n \to \infty} \sup_{k \geq n} a_k, \\
& \underline{\lim}\limits_{n \to \infty} a_n := \lim_{n \to \infty} \inf_{k \geq n} a_k
\end{align}が一致することと同値でした.
これを用いると,実数列の上極限・下極限に類似した概念として,集合列の上極限・下極限が自然に考えられ,集合列の収束を定義することができます.

まず,実数列の上極限・下極限の定義に登場する実数の上限・下限が,集合においてどのような概念に対応するかを考えてみましょう.

  • Introduction
  • 実数の上限・下限から集合の上限・下限へ
  • 実数列の極限から集合列の極限へ
  • 集合列の上極限・下極限とは何か
  • 集合列の極限とは何か
  • 参考文献
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